投資を始めたばかりの方でも、一度は聞いたことがあるであろう「オルカン」。全世界の株式に分散投資できることで人気の投資信託ですが、初心者の方はリスクや投資する際の注意点が気になる方も多いようです。
本記事では、オルカンの仕組みやメリット、投資方法をわかりやすく解説します。オルカンに投資して資産形成を進めたい方は、ぜひ最後までご覧ください。


オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)とは?仕組みや基本情報を解説
はじめに、オルカンとはどのようなものなのか、仕組みや基本情報を詳しく紹介します。
「全世界株式」に分散投資できるインデックスファンドの略称
オルカンは三菱UFJ国際投信が提供する「eMAXIS Slim 全世界株式」の略称で、全世界株式に分散投資できる投資信託シリーズの1つです。このインデックスファンドは、先進国(アメリカやヨーロッパなど)と新興国(中国やインドなど)を含む、世界中の株式市場全体のパフォーマンスに連動することを目的としています。
全世界株式に分散投資できるため、投資初心者でも手軽に広範囲の市場に投資できることが大きな特徴です。また、eMAXIS Slimシリーズは低コストで運用されるよう設計されており、資産形成を始める第一歩として多くの人に選ばれています。コストの低さについては、後ほどオルカンのメリットの中で詳しく解説します。
先進国と新興国の株式市場を対象に投資
オルカンの最大の特徴は、投資対象が先進国と新興国の両方に及ぶ点です。先進国市場ではアメリカや日本、ヨーロッパの主要企業が中心となり、新興国市場では、中国やインド、ブラジルといった成長が期待される国々が含まれます。
先進国と新興国に分散することで、特定の地域の経済変動が他の地域で補われ、リスクが軽減されます。このようにオルカンは特定の国や地域のリスクを抑えられるため、長期的に安定した運用を目指す方に適した選択肢です。
オルカンの投資対象と地域別構成比率
オルカンの投資対象は、MSCI ACWI(All Country World Index)という指標に連動していることが特徴です。MSCI ACWIとは、先進国と新興国を含む世界中の株式市場を対象とした代表的な株価指数で、世界中の株式市場の約85%を網羅しています。
具体的にはアメリカ市場が約60%を占め、GoogleやAppleなどの大手企業が含まれる構成です。次にイギリスやドイツなどのヨーロッパ市場が続きます。また、新興国市場も約10%を構成しており、中国やインドなどの成長が期待される国々が含まれます。
地域別構成比率は定期的に見直され、最新の市場動向に対応している点も魅力です。オルカンはこの分散構造によって、特定の国や地域のリスクを抑えつつ、世界経済全体の成長を取り込めます。
オルカンに投資する3つのメリット
オルカンへの投資は、投資初心者でも安心して始められるメリットがあります。こちらでは主な3つを確認していきましょう。
世界経済の成長を広く享受できる
全世界の株式市場に投資することで、世界経済全体の成長を運用成果に反映させられるため、全世界の成長を享受できます。先進国の安定した経済成長だけでなく、新興国の急成長も資産形成に活用できる点が魅力です。
アメリカやヨーロッパ、日本などの成熟市場に加え、中国やインド、ブラジルなどの新興市場も含まれるため、幅広い国々の経済成長が利益になります。このような幅広い投資対象が、リスクを抑えながら長期的な資産形成をサポートします。
分散投資でリスクを軽減できる
分散投資を通じてリスクを軽減できる点が魅力です。分散投資は、複数の国や地域、産業に投資を分けることで、一部の市場が低迷しても他の市場の成長で損失を補う仕組みです。
つまり、オルカンに投資すると1つの国や地域の経済が低迷したとしても、他の国の成長がポートフォリオ全体を安定させます。特に、先進国と新興国をバランスよく組み合わせることで、個別の経済変動や市場リスクを大幅に抑えられる点が魅力です。
特定の国や地域に依存しないため、大きな損失リスクが軽減され、初心者でも安心して投資を始められます。
コストが低く手軽に始められる
低コストで運用できる「eMAXIS Slim」シリーズの1つで、運用管理費用(信託報酬)が年率0.1%台と非常に低い水準に設定されています。
コストの低さは、運用益を最大化するうえで重要な要素です。また、証券会社によっては最低購入金額が100円から始められるため、初心者でも手軽に投資をスタートできます。
初期費用や運用コストを抑えたい方にとって、オルカンは非常に魅力的な投資商品です。
オルカンの運用成績を確認しよう
オルカンは投資初心者にも人気のファンドですが、運用成績を確認することでさらに投資の信頼性がさらに高まります。過去のデータを通じて成績を詳しく紹介し、他のインデックスファンドとも比較してみましょう。
過去の運用成績をデータで紹介
オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)は、長期的に安定した運用成績を残しています。直近5年間の年平均利回りは約10%で、これは経済状況や為替の影響に応じて変動しますが、全世界の経済成長に連動したパフォーマンスを維持しています。
さらに、定期的にリバランスされる仕組みがあるため、特定の地域や業種の割合が偏った場合に自動的に調整される点も魅力です。そのため、個人投資家が手間をかけずに市場全体の成長を享受できます。このような実績からも、オルカンが長期投資に適したファンドであるといえます。
他のインデックスファンドとの成績を比較
オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)とS&P500(eMAXIS Slim 米国株式)は、投資信託の中でよく比較される2つのファンドです。S&P500はアメリカの代表的な500銘柄に特化し、米国市場の成長を享受できます。
過去5年間のリターンは、S&P500が約22%、オルカンが約11%と米国市場の好調を反映したS&P500が優勢です。ただし手数料面ではオルカンがわずかに低く、コスト面のメリットがあります。
オルカンは全世界に分散投資を行いリスク軽減を図りたい方に適し、S&P500は米国市場の成長を重視し、高リターンを狙う方に向いています。両ファンドの特性を理解し、自分の投資目的やリスク許容度に合わせて選ぶことが重要です。
オルカンと他の全世界型ファンドの比較
オルカンは全世界に投資できるファンドですが、先進国株式ファンドや新興国株式ファンドと比較することでメリットや注意点が見えてきます。
先進国株式ファンドとの違い
オルカンと先進国株式ファンドの大きな違いは、新興国への投資の有無です。先進国株式ファンドは、アメリカや日本、ヨーロッパの主要市場を中心に運用されるため、価格変動が比較的小さく、安定したリターンが期待できます。例えば「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」は、アメリカやヨーロッパの大企業を中心に構成されている点が特徴です。
一方、オルカンは新興国も含めて投資対象を広げているため、政治的な不安定さや経済変動の影響で価格変動が大きくなるリスクがあります。一方で新興国の成長によるリターンを享受できる可能性もあります。
先進国と新興国の地域バランスを考慮したい方には、オルカンの分散効果が適しているといえます。
新興国株式ファンドとの違い
オルカンは、新興国株式ファンドに比べてリスクが低い点が特徴です。新興国株式ファンドは、中国やインド、ブラジルなど経済成長が著しい国々を対象としており、具体的には「eMAXIS Slim 新興国株式インデックス」などが代表例です。ただし新興国では、為替変動やインフレ、政情不安が原因で株式市場が大きく変動するリスクも抱えています。
一方、オルカンは新興国だけでなく先進国も投資対象に含むことで、価格変動の幅を抑えられる点が魅力です。このため、特定の地域や市場に依存しない安定性が期待できます。
投資目的に応じて選択する
投資先を選ぶ際には、自分の投資目的やリスク許容度に応じた選択が必要です。例えば、大きな価格変動に耐えられる方はリスクの高い新興国株式を選ぶこともできます。一方、安定した運用を好む場合は、オルカンのような分散型ファンドが適しています。
一度に大きなリターンを狙いたい場合は、先進国株式や新興国株式に特化したファンドを検討するのもよいでしょう。まずはご自身の投資目的やリスク許容度を整理し、それぞれの特徴を理解したうえで、最適なファンドを選んで資産形成を始めましょう。
オルカンへの投資方法を詳しく解説
初心者でも始めやすいオルカンに投資する方法はいくつかあります。こちらでは、オルカンに投資する方法を具体的に紹介します。
投資信託で購入する
オルカンは、証券会社を通じて投資信託として簡単に購入できる点が魅力です。より手軽に始めたい方は、大手ネット証券などで証券口座を開設するとよいでしょう。証券口座が開設できたら、銀行口座から資金を入金して証券口座で投資信託を購入します。
オルカンを購入する際は、一括購入か定期的に積み立てる方法から選べます。一括購入はまとまった資金を効率的に運用したい場合に適しており、積立投資は少額から始めて時間分散でリスクを抑えられる点が魅力です。まずは証券口座を開設して、オルカンへの投資をスタートしてみましょう。
NISAやiDeCoで節税しながら投資する
オルカンへの投資は、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)を活用することで、節税効果を得ながら効率的に資産形成を進められます。
2024年に新制度が始まったNISA(以降、新NISA)は、年間最大360万円(成長投資枠240万円+つみたて投資枠120万円)の非課税枠を活用できます。年間120万円をつみたて投資枠で運用し、年5%のリターンを得た場合、10年間で約78万円の運用益が非課税となる点が魅力です。非課税保有期間は無期限なので、長期的に運用を続けられます。
iDeCoは、掛金が全額所得控除の対象となり、節税効果が大きいことが特徴です。具体的には、年間24万円(毎月2万円)の掛金を拠出した場合、所得税と住民税で約4万8千円(年収500万円の場合)の節税が可能です。また運用益も非課税であるため、老後の資産形成を効率的に進められます。
新NISAは途中で引き出しが可能なため、教育費や住宅購入など、老後以外の資金形成にも活用できます。一方、iDeCoは原則60歳まで引き出せないため、老後の資産形成に特化した制度です。オルカンは低コストで分散効果が高い商品のため、これらの制度と相性が良く、長期運用をする場合に最適です。
オルカンに適した証券会社を選ぶ
オルカンを購入するには、手数料やサービス内容を比較して証券会社を選ぶようにしましょう。
まず、信託報酬に加え、売買手数料や口座管理料が無料の証券会社(大手ネット証券など)がおすすめです。
また、使いやすいスマホアプリや新NISA、iDeCoの対応状況も確認しましょう。また、証券会社によっては積立設定の柔軟性や、初心者向けのサポート体制が充実していることもあります。
証券会社を比較検討し、投資スタイルに合った証券会社を選んでオルカンへの投資を始めてみることがおすすめです。
オルカンに長期投資して資産形成を始めよう
本記事では、オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)の特徴やメリット、投資方法などを具体的に解説しました。オルカンは、全世界の株式市場に分散投資できる低コストな投資信託です。
分散投資によるリスク軽減や世界経済の成長を取り込むメリットがあり、初心者でも安心して資産形成を始められます。オルカンを活用して、将来のために資産形成を始めてみましょう。