小学生に金融教育は必要?重視される理由や家庭での実践方法を紹介

お金に関して話し合う親子の図。

子どもへの金融教育をどの時期から始めるべきか、お悩みの保護者は多いようです。近年、成人年齢の引き下げや電子マネーの普及など、子どもたちを取り巻く金融環境は大きく変化しており、早期からの金融教育の重要性が指摘されています。

本記事では、小学生への金融教育が重視される背景や、学校での取り組み、家庭で実践できる具体的な方法についてわかりやすく解説します。小学生に適切な金融教育を行いたいと考えている方はぜひご覧ください。

目次

小学生の金融教育とは?定義を解説

小学生の金融教育についてまとめた図。

「(出典)日本銀行「知るぽると」より「学校における金融教育の年齢層別目標」を取り上げている指導計画例等」より当メディア作成」

小学生の金融教育は、お金の基本的な仕組みを学び、健全な金銭感覚を養うための教育プログラムです。この教育では、単なる金融知識の習得だけでなく、実生活に基づく経験を通じて、実践的な判断力を育てることが重視されています。

具体的には、お金の役割や価値、基本的な経済活動の仕組みなどを理解することが特徴です。また、家庭でのお手伝いやお小遣いの管理など、日常生活に密着した形で金融への理解を深めていきます。

このような幅広いカリキュラムを通じて、子どもたちに将来の生活に必要な金銭感覚や経済的判断力を身につけさせることが期待できるでしょう。

お金の知識は生涯にわたって常に重要なものであるため、年代に合わせた正しい教育を行うことが重要です。

金融教育が義務化された3つの理由

ここからは、金融教育が義務化された理由を3つ紹介します。

成人年齢が引き下げられたため

1つ目の理由は、成人年齢が引き下げられたことです。2022年4月から成人年齢が18歳に引き下げられたことで、クレジットカードの契約や住宅ローンの申し込みなど、さまざまな金融取引が18歳から可能になりました。

これにより、高校卒業後すぐに金融的な判断を求められる場面が増え、小学生の段階から計画的にお金の教育を行う必要性が高まっています。

実際、成人年齢引き下げ後は若者の金融トラブルが増加し、社会問題として取り上げられることも少なくありません。このような状況を踏まえ、早期に適切な金融教育を実施することの重要性が再認識されています。

社会環境が変化しているため

2つ目の理由は、私たちを取り巻く社会環境が大きく変化していることです。特に、キャッシュレス決済の普及やデジタル化の進展によって、子どもたちがお金の動きを実感しにくい状況が生じています。

例えば、クレジットカードやスマートフォン決済の利用が一般化し、実物の現金を使う機会が大幅に減少しました。さらに、インターネットを通じた買い物が当たり前になり、子どもたちもオンラインショッピングに容易にアクセスできる環境が整っています。

このように、目に見えない形でお金が動く時代だからこそ、その仕組みや価値を正しく理解するための教育が重要とされています。

諸外国と比較して金融リテラシーが低いため

3つ目の理由は、国際的な調査で日本の金融リテラシーの低さが指摘されていることです。経済協力開発機構(OECD)の調査によると、日本の若者の金融リテラシーは参加国の中で下位に位置しています。

例えば、アメリカやイギリスでは、小学生の段階から体系的な金融教育が実施され、実践的な金融知識の習得が重視されています。一方、日本ではこれまで体系的な金融教育が十分に行われていませんでした。

このような国際比較の結果を受け、日本でも早期からの金融教育を充実させ、グローバル社会で通用する金融リテラシーを育成することが急務となっています。

小学生に金融教育をする3つのメリット

小学生のうちから金融教育をすることには、多くのメリットがあります。こちらでは特に重要な3つのメリットを確認していきましょう。

お金の価値や管理能力が身につく

1つ目のメリットは、お金の価値を理解し、適切に管理する能力を早い段階から身につけられることです。小学生の時期は物事の善悪を理解し始め、基本的な生活習慣が形成される重要な時期です。

このタイミングから金融教育を始めることで、子どもたちは収入と支出の関係を理解し、計画的なお金の使い方の重要性を学ぶことができます。また、欲しいものを我慢する経験や、目標に向けて貯金する習慣が自然と身につくでしょう。

このように、早期の金融教育は、子どもたちの健全な金銭感覚を育む基盤となり、将来の経済的な判断力の向上にもつながります。

将来の金銭トラブルを防ぐ基礎を作る

2つ目のメリットは、将来起こりうる金銭トラブルを未然に防ぐための知識と判断力を養うことです。近年、若者を狙った悪質な投資商品や詐欺的な投資話が増加しています。

小学生の段階で、お金に関する基本的な知識や危機管理の考え方を学ぶことで、不適切な支出や安易な借り入れを避ける判断力が身につくことが期待されます。また、インターネット上での金融取引に潜む危険についても、早い段階から意識を持てるようになります。

このような早期教育を通じて、子どもたちは将来直面する可能性のある金融リスクに対して冷静に対応する力を養えるでしょう。

親子のコミュニケーションが深まる

3つ目のメリットは、お金に関する教育を通じて親子のコミュニケーションが活発になることです。家計や家族の収支について話し合うことで、お金に対する価値観を共有する機会が自然と増えていきます。

例えば、買い物の際に予算を考えながら商品を選ぶ過程や、お小遣いの使い方を一緒に考える時間は、親子で価値観を共有する貴重な場面です。また、家族でお金の管理について話し合うことで、子どもは家計の現状や親の苦労をより深く理解できるようになります。

このように、金融教育は単なるお金の知識を学ぶだけでなく、家族の絆を深める良い機会にもなると言えるでしょう。

小学生が学校で学ぶ金融教育の内容とは?

小学生が学校で学ぶ金融教育の図。

小学校での金融教育は4つの重要な分野に分かれており、子どもたちの発達段階に応じて段階的に学習を進めていきます。こちらでは、実際に小学校で学ぶカリキュラムを紹介します。

生活設計・家計管理に関する分野

ものやお金の価値を理解し、計画的かつ節度ある使い方を身につけることを目指します。

子どもたちは、必要なもの(ニーズ)と欲しいもの(ウォンツ)を区別し、予算内で計画的に買い物をする力を養い、すべてのものやお金には限りがあることを学び、優先順位を考えながら節制し、貯蓄の意義を理解します。

さらに、こづかいやお年玉を使った記録や計画的な貯蓄を通じて、お金の管理能力を高めることも特徴です。プリペイドカードなどの電子的なお金についても、現金と同様に慎重に扱う重要性を学びます。

このように生活設計や家計管理を通じて、将来を見据えた経済的な安定の基盤を育てることが本分野の主眼です。

金融や経済の仕組みに関する分野

お金の役割と社会での循環について学びます。子どもたちはものやサービスを購入する際にお金が必要であることや、硬貨と紙幣の違い、貯蓄の重要性を理解します。

また、銀行などの金融機関の役割を学び、預金や貸出の仕組み、利息の意味を知ることで金融の基本的な仕組みを学ぶことも特徴です。

さらに、地域の生産や販売活動を調査し、ものやお金の動きが家計、企業、政府、銀行とどのように関係しているかを学び、ものとお金が交換される仕組みや値段の決め方、税金や公共活動の意義についても学習し、社会とお金のつながりに対する理解を深めます。

これらを通じて、自分の暮らしと社会の関係を捉え、問題意識を持つ力を育てることがこちらの分野の内容です。

消費生活・金融トラブル防止に関する分野

適切な消費生活と金融トラブルを防ぐための知識と行動力を養います。子どもたちは、買い物の仕組みと消費者としての役割を理解し、目的や価格、安全性、環境への配慮を考慮した選び方を身につけます。また、売買契約の基礎や消費生活に関する情報を活用して、比較・選択する力を育てます。

さらに、子ども同士でのお金の貸し借りを避けるべき理由や、インターネットや携帯電話によるトラブルの実態を学び、それらを予防する方法を理解します。困ったときには家族や消費生活センターなどの適切な相談先に助けを求めることも重要な学習項目です。

健全で安全な消費生活を営む力を身につけるとともに、金融トラブルを未然に防ぎ、家族や社会に迷惑をかけない責任感を養います。

キャリア教育に関する分野

自分の将来について考え、働くことの意義や自分の役割を理解する力を育むことを目的としています。子どもたちは、自分の長所と短所を見つけ、それを活かした職業や将来の夢を描く機会を得ます。また、栽培や製作、販売活動を通じて、仕事の仕組みや働くことの大変さ、喜びを学びます。

さらに、地域や社会で働く人々の努力や工夫に気づき、感謝の気持ちを持つことで、働くことが社会に貢献する重要な活動であることを理解することも重要なポイントです。ボランティア活動などを通じて、他者と協力し、社会の一員としての役割を果たす態度も身につけます。

このような学びを通じて、子どもたちは自分の将来に対する目標を持ち、その実現に向けて努力する姿勢を養います。

家庭でできる小学生の金融教育の方法

最後に、家庭で行う小学生の金融教育の方法を紹介します。家庭での金融教育は、子どもの成長に合わせて段階的に進めることが大切です。日常生活の中で自然と学べる機会を活用し、楽しみながら継続的に学習できる環境を整えましょう。

お小遣いを活用してお金の管理方法を教える

お小遣いを活用することで、子どもが実践的にお金の管理を学べます。定期的に一定額を渡し、その範囲内で計画的に使うことを促すことで、基本的な金銭管理能力を育むことに繋がります。

使い道は子どもの自主性に任せる一方で、収支をノートに記録する習慣を身につけさせることにより、お金の出入りを意識する力が養われます。

さらに、目標を決めて貯金をする経験は、将来の資産管理の基礎として役立つでしょう。例えば、おもちゃやゲームの購入を目標に貯金をすることで、欲しいものを手に入れる達成感と計画的なお金の使い方を実感できます。

このように、お小遣いは子どもの金銭感覚を育て、将来の経済的な自立への第一歩となる大切な学びの機会です。

日常生活の中で「お金の仕組み」を伝える

日常生活の中に自然と学びの機会を取り入れることも、大切な家庭での金融教育の1つです。例えば、スーパーマーケットでの買い物では、商品の価格を比較し、予算内で必要なものを選ぶことで金銭感覚を養えます。

また、公共料金の支払いや家計の収支を子どもに見せながら説明することで、生活に必要な費用への理解が深まります。

さらに、家族旅行の予算を立てる際に子どもを参加させることで、計画的な支出の重要性を学ばせることも可能です。このように、日常生活の中での体験を通じて、お金の使い方や価値を学ぶ機会を積極的に設けることが大切となります。

ゲームやアプリを使って楽しく学ぶ

子どもたちが楽しみながら金融を学べる方法として、教育用のゲームやアプリを活用するのは非常に効果的です。最近では、お金の管理や投資の基礎を学べる子ども向けの金融教育アプリが数多く開発されています。

例えば、「まねぶー」というアプリではお仕事ゲームをして稼いだお金で買い物をすることができ、お金の流れが楽しく学べます。

まねぶのスクリーンショット。

参考:まねぶー(販売元:株式会社mediba Copyright:©mediba ©ORSO Inc.)

また「株トレ」というボードゲームでは、株式投資を体験できることが特徴です。株取引は危険なもの、という認識を払拭し、正しい知識を持って資産形成に取り組める知識を養えます。

株トレの画像。

参考:株トレ(販売元:Kyobo合同会社 Copyright:© 京大ボドゲ製作所)

遊び感覚で取り組める学びのツールは、子どもたちに実践的な金融知識を自然と身につけさせられます。またそれだけでなく、家族のコミュニケーションを深めるきっかけにもなる点が魅力です。

小学生のうちから楽しく金融教育を取り入れよう

本記事では、小学生への金融教育が注目される背景や、学校や家庭でできる具体的な取り組みについて解説しました。成人年齢の引き下げや社会のデジタル化が進む中で、早い段階からお金の価値や管理方法を学ぶことがますます重要になっています。

学校では4つの分野で体系的な金融教育が行われており、家庭ではお小遣いや日常生活を通じて子どもたちの金融リテラシーを育むことが求められています。 子どもたちの未来を豊かにするために、今日から楽しみながら金融教育を始めてみませんか?

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この記事の著者

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