不動産投資は近年、資産運用の選択肢として注目を集めています。しかし、不動産投資を検討する方のなかには「どこから始めれば良いのか」「どのような準備が必要なのか」といった疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。本記事では、不動産投資の基礎知識や流れ・ノウハウなどを詳しく解説します。
そもそも不動産投資って何?
不動産投資とは、アパート・マンション・戸建てなどの不動産に出資して、収益を得ることです。不動産投資の強みは、比較的安定した収入が期待でき、少額の自己資金でもローンを活用して始められる点です。その他に相続対策として活用できることや、税制上の優遇措置があることも大きな魅力だといえます。
一方で、物件の維持管理費用が必要であることや、不動産価値の下落リスクなども存在します。プロの投資家でも失敗するケースがあるため、十分な知識と準備が不可欠です。
不動産投資で利益を得る方法は主に2種類
不動産投資で利益を得る方法は、家賃収入(インカムゲイン)と不動産の売却による収入(キャピタルゲイン)です。それぞれ内容を見てみましょう。
家賃収入(インカムゲイン)
不動産投資における最も基本的な収入源です。物件に住み続けてくれる限り家賃を得られるため、投資家にとって安定的な収入となります。なお、家賃収入を得続けるには、立地条件の良い物件を選定したり、適切な家賃設定をしたりすることが重要となります。
不動産の売却による収入(キャピタルゲイン)
購入時よりも高い価格で物件を売却することで利益を得られます。不動産価格は、立地周辺の発展や不動産市場の活況などの外部要因に大きく影響されるため、キャピタルゲインを狙う方は街の情報を集めてから物件を選ぶことが重要となるでしょう。
不動産投資で押さえた方が良い基礎知識
不動産投資は、安定した収益を期待できる魅力的な資産運用の一つです。不動産の選び方や運営のポイント、リスク管理、税制の理解など、押さえるべき事項は多岐にわたります。
以下では、不動産投資を始める上で知っておくべき基本的なポイントをわかりやすく解説します。
利回りの意味を知る
利回りとは投資の収益性を測る指標です。「表面利回り」と「実質利回り」があります。計算式は次の通りです。
- 表面利回り=「年間の家賃収入÷物件の購入価格×100」
- 実質利回り=「(年間の家賃収入-年間の諸経費)÷(物件の購入価格+物件購入時の諸経費)×100」
表面利回りとは概算の収益率のことで、実質利回りとは表面利回りに諸経費を考慮した状態で算出する利回りのことです。物件を選ぶ際は、表面利回りよりも実質利回りを重視しましょう。
不動産投資の税金について理解する
不動産投資では、さまざまな税金が発生します。
不動産運用における主な課税タイミング
不動産取得時 | 不動産取得税 |
不動産保有時 | 固定資産税 |
都市計画税 | |
不動産売却時 | 印紙税 |
譲渡所得税 | |
不動産投資での収益獲得時 | 所得税 |
住民税 |
その一方で、減価償却費による経費計上や自治体の税制優遇措置を活用すれば、税額の負担を減らせます。もし身近に税理士や公認会計士の資格を持った知人・友人がいるのであれば、これら不動産投資にまつわる税について助言を求めることで、より一層の理解を深められるでしょう。士業が周りにいない場合は、不動産運用の経験者や不動産運用セミナーで相談することも有効な手段といえるでしょう。
不動産投資のリスクを把握する
不動産投資のリスクは次の通りです。
家賃収入に関するリスク | 空室リスク |
賃料下落リスク | |
金利上昇リスク | |
滞納リスク | |
建物に関するリスク | 建物の老朽化リスク |
災害リスク | |
管理会社に関するリスク | 管理会社の倒産リスク |
なかでも空室リスクは要注意です。空き部屋になっている期間は収入が0になり、費用ばかりかかってしまいます。しかし、不動産会社のなかには発生した損失を補填するサービスを行っている場合もあるので、活用すると良いでしょう。
不動産投資を始める前に用意すること
不動産投資を始める際、物件の選定や資金計画、ローンの利用、リスクの把握など、事前に検討すべき事項は多岐にわたります。ここからは、不動産投資を始める前に整えておくべきポイントや準備の進め方について、具体的に解説します。
不動産投資の目的を決めておく
老後の資金作り・収入の多様化・資産形成など、投資の目的によって選ぶべき物件や投資戦略が変わってきます。また、投資期間や期待する収益率も設定しておくと、物件のミスマッチを防げるでしょう。
不動産の情報収集をしておく
不動産市場の動向・地域の発展計画・賃貸需要など、さまざまな観点からの情報収集が必要です。不動産業者からの情報はもちろん、実際に現地を訪れて周辺環境を確認したり、地域の不動産オーナーから話を聞いたりすることで情報を得られます。
不動産投資の準備をしておく
自己資金の確保はもちろん、融資を受ける場合は事前に金融機関との相談や審査を進めておく必要があります。また、不動産投資に関する基礎知識の習得や専門家とのネットワーク作りも大事です。
不動産投資の流れ
ここでは、どのように不動産投資が進んでいくのか見てみましょう。
1.物件探し
立地条件・物件の規模・価格帯・築年数などを考慮しながら、投資目的に合った物件を探します。不動産業者と良好な関係を築き、質の良い物件情報を得ることを意識しましょう。
2.物件調査
候補物件が見つかったら、詳細な物件調査を行います。建物の状態・法的規制・周辺環境・賃貸需要など、多角的な視点で見ることが大事です。必要に応じて、建築士や不動産鑑定士などの専門家に依頼して、投資用物件として購入しても大丈夫かチェックしてもらいます。
3.収支計画の策定
物件の購入価格・予想される家賃収入・管理費用・修繕費用などを計算した上で、収支計画を立てます。将来的なリスクも考慮に入れた、現実的な計画を策定することが重要です。
4.資金調達
自己資金と借入金のバランスを考慮し、返済計画を立てます。金融機関と交渉したり、融資制度を活用したりすることでスムーズな資金調達ができるでしょう。
5.契約・決済
物件購入の契約を締結し、決済を行います。不動産登記や各種保険の加入など、さまざまな手続きが必要です。専門家のサポートを受けると、ミスなく進められます。
6.物件の運営・管理
入居者の募集や選定・家賃の集金・建物の維持管理など、さまざまな業務が発生します。基本的には管理会社へ委託することが多いでしょう。
まとめ
不動産投資を成功させるには、基礎知識の習得・十分な情報収集・適切な物件選定、物件の効率的な運営・管理が重要です。正しい知識を身に付け不動産投資を行うことで、理想的な資産形成を進めていきましょう。