株価指数に連動する投資信託やETF(上場投資信託)を通じて、市場全体に分散投資を行う手法をインデックス投資といいます。本記事では、インデックス投資の仕組みやメリット、デメリットを分かりやすく解説いたします。
インデックス投資の基礎知識
「インデックス」とは、市場全体の動きを表す指標のことです。日本では「日経平均株価」や「TOPIX(東証株価指数)」が有名で、アメリカでは「S&P500」や「ダウ平均株価」などがあります。
また「インデックス投資」とは、特定の株価指数に連動するように設計された投資信託やETF(上場投資信託)を購入し、その指数に沿った運用成果を目指す方法です。たとえば、日経平均株価に連動する投資信託を購入すれば、日経平均株価の動きに合わせて資産が増減します。インデックス投資を用いれば、個別株を選ぶ手間が省け、簡単に市場全体へ分散投資が可能です。
インデックスファンドとアクティブファンド
インデックスファンドとは
特定の株価指数(インデックス)に連動するように設計された投資信託です。たとえば、日経平均株価やS&P500などの有名な株価指数に連動しており、市場全体の動きを反映します。個別株を選ばずに、広範囲に分散投資ができるため、個別株への投資に比べるとリスクを抑えながら運用することが可能です。
アクティブファンドとは
ファンドマネージャーが市場や企業の調査・分析を行い、指数を上回るリターンを目指して運用する投資信託です。インデックスファンドに比べて高いリターンを期待できる一方、運用上のコストが高く、投資家は売買手数料や運用手数料を支払って運用を委託します。またファンドマネージャーのスキルや投資方針によって運用成績に差が生じます。
どちらを選ぶべきか?
初心者でコストを抑えながら市場全体に分散投資したい場合は、インデックスファンドが適していると言えるでしょう。
その一方で、高いリターンを追求する場合は、コスト面も把握しつつアクティブファンドも検討してみましょう。どちらか一方を選ぶのではなく、両方を組み合わせてバランスよく投資するのも一つの戦略です。自分自身の経験や投資スタイル、投資を始める際に定めた目的や目標にあわせて選んでいきましょう。
代表的なインデックス
日経平均株価(Nikkei 225)
日経平均株価は、日本を代表する225社の上場企業の株価をもとに算出される日本の代表的な株価指数です。各企業の株価を単純平均しており、時価総額の大小に関わらず均等に指数に反映されます。日本市場全体の動向を把握するための指標として、日本国内でのインデックス投資において重要な役割を担っています。
TOPIX(東証株価指数)
TOPIXは、東京証券取引所に上場している全ての銘柄の時価総額を基に算出される指数です。日経平均とは異なり、時価総額に応じて銘柄が組み込まれるため、市場全体の動きをより正確に反映します。日本の投資信託やETFで頻繁に用いられるベンチマークとして広く知られています。
S&P500
S&P500は、アメリカの代表的な株価指数で、アメリカ市場を代表する500社の大企業の株価を基に算出されます。時価総額加重平均型の指数で、IT企業やヘルスケア企業が多く含まれているのが特徴です。長期的に右肩上がりの成長を続けており、米国株式市場に投資する際に使用される指標の一つとなります。
その他株式指数(複数国にまたがるもの)
MSCI Kokusaiインデックス
MSCI Kokusaiインデックスは、先進国の株式市場に投資するための代表的な指数で、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツなど世界22カ国の大・中規模企業が対象となっています。日本を除いた先進国市場全体に分散投資をしたい場合に適したインデックスです。
MSCIエマージング・マーケット・インデックス
MSCIエマージング・マーケット・インデックスは、新興国市場への投資を目的とした代表的なインデックスです。ブラジル、中国、インドなどの新興国26カ国の大・中規模企業が対象で、成長性が期待される新興国市場全体に分散投資を行うのに適しています。
FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス
FTSEグローバル・オールキャップ・インデックスは、全世界の株式市場を対象としたインデックスで、先進国だけでなく新興国も含めた約5700銘柄に分散投資ができます。市場全体に幅広く投資をしたい場合に適したインデックスです。
インデックス投資のメリット
初心者でも安心して始められる多くのメリットがありますが、以下に主なメリットを解説します。
株式に関する知識がなくても運用できる
特定の株価指数に連動するよう設計された投資信託やETFを購入するだけで、市場全体に分散投資できるため、個別株に関する知識がなくても簡単に運用を始めることができます。株式投資では通常、企業分析や経済動向の把握が必要ですが、インデックス投資なら市場全体に投資するため、複雑な分析を行わずに投資ができます。
少額から運用を開始できる
少額から始められる点も大きなメリットです。一般的な株式投資では100株単位での購入が必要なため、一定のまとまった資金が求められますが、インデックス投資では数百円から購入できる商品も存在し、少額の資金でも分散投資が可能です。NISAを活用することで、税務的にもより効率的に運用することが可能となります。
手数料が低い
他の投資信託に比べて手数料が低く設定されています。アクティブファンドでは、ファンドマネージャーが市場を分析して銘柄を選定するため、運用コストが高くなりがちですが、インデックス投資は市場に連動するシンプルな仕組みのため、信託報酬や売買手数料が抑えられます。
インデックス投資のデメリット
メリットを把握する反面、デメリットも理解しておきましょう。
短期間では大きなリターンを期待できない
インデックス投資では、「市場は長期的には成長を継続している」ということを前提に、特定の市場における平均的な値動きを通じてリターンを得ることを目指します。したがって、個別株のような大きな値上がりを短期間で期待するのは難しく、ハイリターンを狙う投資家にはあまり向いていません。また、市場全体が不調の場合は、インデックス投資も同様に損失を被る可能性があります。そのため、インデックス投資は市場全体を上回るパフォーマンスを期待することはできず、安定したリターンを重視する長期的な投資手法と言えるでしょう。
市場全体の下落に影響を受ける
インデックス投資は市場全体が下落する局面では個別株のようにリスクを分散する余地が少なく、より大きな損失を被る可能性があります。
まとめ
インデックス投資は、市場全体に広く分散投資することでリスクを低減し、安定した長期的な成長を目指す投資手法です。そのシンプルさや低コスト、また時間をかけずに市場全体の成長を享受できる点から、多くの投資家に支持されています。特に、初心者や忙しい投資家にとっては、手間をかけずに始められる点が大きな魅力です。
しかし、インデックス投資には市場全体の動きに左右されやすいことや、短期的なリターンを追求するには不向きであるといったデメリットも存在します。市場が下落すれば、インデックスファンドもアクティブファンド同様に価値が下がり、大きな損失を被る可能性があります。また、アクティブ投資のように柔軟に資産を動かすことができないため、投資の自由度が制限されることも覚えておくべきです。
総じては、インデックス投資は長期的な視点で資産形成を目指す投資家にとって有効な選択肢です。市場全体の成長を享受しつつ、リスクを分散する手法として、時間をかけずに資産を増やしたいと考える人には特に適しています。
一方で、短期的な利益を追求するのではなく、長期的に運用する姿勢が求められます。自分の投資目的やリスク許容度をよく考慮し、インデックス投資が最適な手法かどうかを検討してみましょう。