投資信託は、少額から始められる上に、投資運用のプロとしてファンドマネージャーが運用、管理を代行してくれるため、専門的な知識がない場合でも安心して投資を始めることができます。本記事では、具体的に投資信託がどのように運用されているのか、またメリットやデメリットは何があるのかについてわかりやすく解説します。
投資信託とは
複数の投資家から集めた資金を投資運用会社が取りまとめ、さまざまな資産に分散投資する金融商品です。運用会社が投資先の銘柄や投資割合を選定しますが、個人投資家にとっては少額でも広範囲な投資ができるようになります。
投資信託と株式投資の違い
まず、株式投資ではいつでも自分の判断で売買ができ、非常に柔軟に管理できますが、自身がどの株式を購入し、売却するかを判断しなければなりません。そのため、企業の業績や市場の動向を自分で調べる必要があります。
一方で投資信託(ファンド)での投資運用においては運用期間や売却に制限がある場合があり、個別株よりも柔軟性が劣ることがあります。またファンドマネージャーが資産運用を行うため、投資家は個別銘柄の選定や売買のタイミングを気にする必要が少なく、運用をプロに任せることができる点で手間がかかりません。
これらの点から運用の自由度や柔軟さと手間の負担がトレードオフの関係で存在していると言えるでしょう。
次に手数料の発生ポイントが異なります。株式投資では株の売買ごとに取引手数料が発生しますが、ファンド投資では 購入手数料や信託報酬(管理費用)がかかります。ファンドマネージャーに支払う手数料によって、株式投資に比べてコストが高くなる場合があります。
最後にパフォーマンスとリスク管理の観点から違いを説明します。株式投資においては投資家は個別の企業の株価や業績を直接把握できるため、投資のパフォーマンスを明確に把握ができます。投資収益は投資した企業の業績や市場動向に大きく左右されますが、リターンを大きく実現しやすい点も株式投資の魅力といえるでしょう。ファンドにおいては複数の株式や資産に投資するため、リスクが分散されます。一つの企業が悪い業績を出しても、他の企業のパフォーマンスによって影響を軽減できる可能性があります。ただし、株式に対する直接投資と異なり、損益の原因分析がしづらく、また大きな儲けを得難いことにも留意が必要です。
投資信託の仕組み
投資信託の基本構造
基本的な構造としては「販売会社」「運用会社」「信託銀行」の3つの機関が連携して成り立っています。「インベスコ世界厳選株式オープン」という投資家には非常にポピュラーな投資信託を具体例にご説明いたします。
①販売会社(SMBC日興証券株式会社)は、投資家に対して投資信託を販売し、口座の管理などのサポートを行います。
②運用会社(インベスコ・アセット・マネジメント株式会社)は、投資先の選定や資産の配分を決定し、実際の運用を指示します。
③信託銀行(三菱 UFJ 信託銀行株式会社 )は、投資家から預かった資金を安全に管理し、運用会社の指示に従って投資を実行します。
ご参考:インベスコ世界厳選株式オープン(愛称「世界のベスト」)インベスコ・アセット・マネジメント株式会社より
https://jppdf.invesco.com/Prospectus/kofu312901.pdf
※あくまでも情報提供を目的としており、商品の売買を勧誘するものではありません。
投資信託のメリット
分散投資が可能
多くの投資家から集めた資金をまとめて、多様な資産に分散投資するため、1つの銘柄に依存せず、リスクが分散されます。個別株に投資する場合と比べて、リスクを軽減できるのが大きなメリットです。
専門家による運用
プロのファンドマネージャーや運用チームによって運用されます。個人では難しい市場分析やタイミングの見極めを専門家が行うため、投資初心者でも安心して始められるのが特徴です。
少額からの投資が可能
少額からでも投資できる商品が多く、まとまった資金がなくても分散投資に参加できます。例えば、積立投資は数千円から投資可能です。
流動性が高い
いつでも買付けや解約ができる商品が多く、資金が必要になったときに容易に現金化できます。
手間が少ない
個別株のように、企業の業績や市場の変動を常にチェックする必要がないため、運用の手間が省けます。ファンドマネージャーに運用を任せるため、投資の知識や時間が限られている人にも適しています。
投資信託のデメリット
コストが割高
信託報酬(管理費)や購入時の手数料、信託財産留保額などのコストが発生します。
短期投資には不向き
長期運用を前提として設計されていることが多く、短期的な利益を求める場合には適していません。市場の変動により、短期間で大きな利益を得ることは難しく、売却のタイミング次第では元本割れするリスクもあります。
【初心者向け】投資信託の始め方
投資信託はそのとっつきやすさから、初心者にとって非常に魅力的な投資手段のひとつです。少額から始められ、プロの運用により資産を増やすことができるため、「はじめての投資」に適しています。ここでは、投資信託を始めるための4つのステップを解説します。
金融機関を選ぶ
まず取引する金融機関を選ぶ必要があります。金融機関には、証券会社、銀行、ゆうちょ銀行などがあり、それぞれサービスや手数料が異なります。対面でサポートを受けたい場合は、銀行や対面サービスを行っている証券会社、ゆうちょ銀行が適していますが、コストを抑えたいならネット証券がおすすめです。ネット証券は手数料が比較的安く、スマートフォンやパソコンから手軽に取引できます。
口座を開設する
次に、選んだ金融機関で口座を開設します。ネット証券の場合は、オンラインで手続きを完了できるため、簡単に口座開設できます。通常、本人確認書類の提出や初期設定の入力が必要です。また、口座開設時にNISA口座を選択することで、運用益が非課税となるメリットを得られます。NISA口座を活用することで、より効率的に資産を増やすことが可能です。
購入したい投資信託を選ぶ
口座開設したら、次に購入する投資信託を選びます。投資信託には非常に多くの種類があるため、自身の投資目的やリスク許容度に合った商品を選ぶことが重要です。たとえば、安定した収益を目指すなら債券型、成長を期待するなら株式型、リスク分散を重視するならバランス型が選ばれることが多いです。選択肢が多すぎて迷う場合は、投資信託のランキングやアドバイザーの意見を参考にすると良いでしょう。
選んだ投資信託を購入する
最後に、選んだ投資信託を実際に購入します。購入方法には、一括購入と積立購入があります。一括購入は、一度にまとめて投資する方法を指し、一方の積立購入は、毎月一定額を購入する方法で、長期的な目線に立って安定的に資産を増やしたい場合に適しています。
投資信託に関する重要な書面
投資信託の購入時には「目論見書」をはじめとした様々な書面が交付されます。自身の大切な資金がどのように運用されていて、どのようなパフォーマンスを期待するべきか、またどのようなリスクがあるのかをしっかり理解するためにも、できる限り目を通し、適切に保管する習慣を維持しましょう。
まとめ
経済状況、金利、地政学的リスクなど、様々な要因が投資信託の価格変動に影響を与えます。さらに、プロが運用しているとはいえ、リスクがゼロではなく、元本割れの可能性も大いにあります。運用方針や手数料の違いを理解し、自分のリスク許容度に合ったファンドを選ぶことも重要です。
一方で、投資信託の面白さはその手軽さと多様性にあるのではないかと思います。少額から広範囲な資産に分散投資でき、プロの運用の恩恵を受けることができるのは大きな魅力です。また、自分では手が届かない地域や業種に投資できる点も楽しさの一つではないでしょうか。ファンドとしての成長を楽しみながら、資産を少しずつ育てていくことが、投資信託投資の醍醐味といえるでしょう。