徐々に収束しながら三角形のような形のパターンを形成する三角持ち合い。三角持ち合いというパターンがあることを知ったけど「三角持ち合いとはどんなパターンなんだろう」と気になる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、三角持ち合いの概要について徹底解説します。ほかにも、三角持ち合いで取引するときの注意点や取引方法もまとめました。本記事を読めば、三角持ち合いを活かした取引ができるようになり、投資の幅を広げられます。ぜひ、最後まで読んで実践してみてください。
三角持ち合いとは
三角持ち合いとは、価格変動の幅が徐々に狭まっていき三角形のような形状を描くパターンのことです。このパターンは、上値抵抗線と下値支持線が次第に近づいていき、最終的には一点に収束するような動きをします。

三角持ち合いは、市場参加者たちが次の相場の方向性を探っているときに現れることが多く、一般的に3週間から3ヶ月程度の期間で形成されます。買い手と売り手の力が拮抗している状態であり、その均衡が崩れるときに大きな値動きが生まれるパターンです。
ちなみに、抵抗線とは買い圧力より売り圧力が強い価格帯のことで、支持線とは売り圧力より買い圧力が強い価格帯を指します。
三角持ち合いの3つの種類
三角持ち合いには、主に3つのタイプがあります。それぞれの特徴を把握しておけば、より正確な相場予測が可能になります。ここで紹介する三角持ち合いは、以下のとおりです。
- 均衡型
- 上昇型
- 下降型
それぞれのタイプについて詳しくみていきましょう。
均衡型
均衡型の三角持ち合いは最も基本的なパターンで、上値抵抗線が下降し下値支持線が上昇して収束する形を描きます。

このパターンは、市場の方向性が定まっておらず買い手と売り手は徐々に相場から減っていて、様子見する投資家が増えているとわかります。均衡型は、どちらの方向にブレイクアウトするかによって次の相場展開が決まるパターンです。たとえば、上方向にブレイクアウトすれば上昇トレンド、下方向にブレイクアウトすれば下降トレンドのはじまりを示唆します。
均衡型は判断が難しいタイプですが、ブレイクアウトしたあと適切にエントリーすれば大きなトレンドのはじまりを捉えられるでしょう。なおブレイクアウトとは、支持線や抵抗線となっている価格帯を抜けだすことを指します。ブレイクアウトが起こると、株価は大きく動き出すことが多いです。
上昇型
上昇型の三角持ち合いは、上値抵抗線が水平で下値支持線が徐々に上昇していく、強気を表すパターンです。

重要な節目である上値抵抗線を越えられずに何度か跳ね返されますが、その一方で安値は少しずつ高くなっていきます。これは、売り手の力がだんだんと弱まっている状態を示しています。このような状況は、上方向へのブレイクアウトの可能性が高いです。
次の展開として、上値抵抗線を突破した瞬間に大きな上昇がはじまると予測できます。上昇型の三角持ち合いをみつけたら、上方へのブレイクアウトの瞬間を狙って買いを入れる準備をしておくとよいでしょう。
下降型
下降型の三角持ち合いは、上値抵抗線が下降し下値支持線が水平なパターンです。

支持線で何度か跳ね返っていた株価が、上値を切り下げながら徐々にその支持線に近づいていくような動きをします。このパターンは、買い手の力が少しずつ弱まっている状態で相場は弱気を示しています。そのため、支持線を割り込んだ瞬間に大きな下落がはじまることが多いです。下降型の三角持ち合いパターンを確認したら、下値支持線を突破したときに売りポジションをとる心構えをしておくのがおすすめです。
三角持ち合いになる理由
三角持ち合いが形成される主な理由は、市場での買い手と売り手の力関係が均衡状態にあるからです。この均衡状態は、さまざまな要因によって生じます。
たとえば、市場参加者たちが次の相場展開の方向性を探っていることが1つの要因として挙げられます。重要な経済指標の発表や企業の決算発表を控えている時期には、多くの投資家が様子見の姿勢をとるため、値動きが収束することが多いです。市場参加者が様子見をして取引が積極的に行われない状況では、株価の変動幅が徐々に小さくなり三角形のパターンが形成されやすくなります。
三角持ち合い時の目標株価の推測
三角持ち合いからブレイクアウトしたあとの株価が、どこまで動くのか目標値を知りたい方も多いですよね。三角持ち合いのパターンからは、目標価格を予測できます。一般的な予測方法は、三角形の高さを使う方法です。

具体的には、三角持ち合いの頂点AからBである下値支持線までの垂直距離を測ります。上方向へのブレイクアウトを仮定した場合、ブレイクポイントからAB間の同距離を垂直に伸ばした水準が目標価格となります。
このように、目標価格が推測できるようになると利益確定の目安ができるため、より戦略的な取引が可能です。しかしながら、相場環境やその銘柄の特性によって予測通りの動きをしない場合があることは理解しておきましょう。
三角持ち合いで取引するときの注意点
三角持ち合いのパターンを活用して取引する際には、いくつかの重要な注意点があります。ここで紹介することに気をつけると、より効果的に三角持ち合いを活用した資産形成ができるようになります。
- ダマシが発生する可能性がある
- ほかのテクニカル指標と組み合わせる
- 取引スタイルに合わせた時間軸で確認する
それぞれのポイントについて詳しく解説していきます。
ダマシが発生する可能性がある
三角持ち合いからのブレイクアウトでも、ダマシが発生することがあります。ダマシとは、三角持ち合いを上抜けたと判断して買いポジションをとったあと、頓挫してしまい再び三角形内に戻ってしまうような株価の逆行現象を指します。
三角持ち合いのパターンでも、将来の値動きを確実に読めるわけではありません。そのため、必ず事前に損切りラインを決めてエントリーすることが重要です。最悪でも、エントリーした価格から10%以上逆方向に株価が動いてしまったら損切り するのがおすすめです。
投資では損を小さくして利益を伸ばすことが、長期的な成功への道だといえます。ですので、期待した方向と逆方向に価格が動いた場合素早く損切りするようにしましょう。
ほかのテクニカル分析ツールも使う
三角持ち合いのパターンを利用して取引する場合、ほかのテクニカル分析ツールと組み合わせるとより精度の高い投資判断ができます。特におすすめなのは、出来高との併用です。三角持ち合いからのブレイクアウトが本物かを判断する上で、出来高は重要な指標となります。
理想的な状況は、ブレイクアウトと同時に出来高が増加するケースです。

この状況は、多くの投資家が相場に参加している証拠となり、今後も買い進められやすい状況だといえます。このように、ほかのテクニカル分析ツールと組み合わせると、三角持ち合いによる売買シグナルの信頼性は格段に高まります。
取引スタイルに合わせた時間軸で確認する
三角持ち合いのパターンを活用する際には、自分の取引スタイルに合った時間軸でのチャート確認が重要です。デイトレーダーであれば5分足や15分足、スイングトレーダーであれば日足や週足など、自分の投資スタイルに合った時間軸を選ぶことが成功の鍵です。
投資スタイルに対して短すぎる時間軸では、ノイズが多くなるため三角持ち合いにみえたダマシのパターンを間違えて認識しやすくなります。逆に長すぎる時間軸では、短期の重要な変動を見逃す可能性が高いです。このように、自分の取引スタイルに合わない時間軸で観察してしまうと、ミスを引き起こしやすくなるので適切な時間軸で観察するようにしましょう。
三角持ち合いが現れた際の売買方法
三角持ち合いパターンをみつけたら、どのように売買すればいいのか具体的な方法が気になりますよね。ここでは、上昇シナリオと下降シナリオそれぞれの売買戦略について解説します。
- 上値抵抗線を抜けたら買いのサイン
- 下値支持線を抜けたら売りのサイン
正しいタイミングでエントリーすると、リスクを抑えながら大きなトレンドに乗ることができます。
上値抵抗線を抜けたら買い
三角持ち合いの上値抵抗線を上抜けた場合、強気相場への転換を示すシグナルとなるため買いチャンスです。ちなみにこれは均衡型と上昇型の三角持ち合いのみ当てはまるものですので、チャートの読み取りに注意してください。買いエントリーの具体的なタイミングとしては、以下のポイントを確認するとよいでしょう。
- 価格が上値抵抗線を上抜け
- 出来高が通常時に比べ増加
これら2つの条件が揃ったタイミングは、成功確率が比較的高いポイントです。また、利益確定の目安としては先ほど説明した「三角持ち合い時の目標株価の推測」の章を参考にして、三角形の高さ分を目標価格として設定するのがおすすめです。もし上抜けたあとに再び三角形内に戻ってしまった場合は、ダマシの可能性が高いため、素早く損切りしましょう。
下値支持線を抜けたら売り
三角持ち合いの下値支持線を突破した場合は、弱気相場に転じる兆候と考えられるため売りポジションをとるのに適したタイミングだといえます。なお、この戦略が適用されるのは均衡型と下降型の三角持ち合いのパターンのみとなります。下値支持線の下抜けを確認する方法としては、以下のポイントが重要です。
- 価格が下値支持線を下抜け
- 出来高が通常時に比べ増加
売りのエントリータイミングとしては、出来高を伴って下抜けを確認できたところで売りを入れるのが理想的です。利益確定の目安としては、買いの場合と同様に三角形の高さを目標価格として設定するのがいいでしょう。また、下抜けたあとに三角形のパターン内に再び戻ってしまった場合は、偽シグナルの可能性が高いため、早めにロスカットするのがおすすめです。投資での長期的な成功は、リスク管理を徹底することにあります。もしエントリー後に価格が逆行してしまったとしても、損切りは徹底するようにしましょう。
まとめ
三角持ち合いは、投資初心者でも比較的みつけやすく、次の値動きを予測するのに役立つ強力なチャートパターンです。上値抵抗線と下値支持線が収束していく三角形の形状を見極めることで、相場が動きだす前兆を捉えられます。三角持ち合いで取引する際は、上値抵抗線を抜けたら買い、下値支持線を抜けたら売りという基本原則を覚えておくとよいでしょう。
また、取引する際には損切りラインを事前に設定したり他のテクニカル指標と組み合わせたりすることが重要です。これらのポイントを押さえて三角持ち合いパターンを活用すれば、投資判断の精度が格段に向上するはずです。ぜひ、三角持ち合いのパターンをご自身の投資に活かし資産形成に役立ててみてください。
※投資はお客様自身の判断と責任において行ってください。