株価や為替の値動きを表すチャート。いくつかの種類がありますが、みなさんが普段から見ているのは、蝋燭を1本1本並べたような形をしているはずです。この蝋燭を、ローソク足と呼びます。ローソク足を時系列で並べたローソク足チャートが、日本ではスタンダードです。ところで、このローソク足には多くの情報が詰まっています。ローソク足の見方やパターンを知ることで、値動きを予想しやすくなり、勘に頼らない売買のタイミングの判断ができるようになるのです。投資家の基本知識とも言えるローソク足について、早速覚えていきましょう。
そもそもローソク足とは？
チャートに並んでいる蝋燭のような棒を、ローソク足と呼びます。ローソク足を見れば、過去に比べて現在の価格が高いのか安いのか、また一定期間でどのような値動きをしているのかがひと目でわかります。その発祥は古く、江戸時代に米の売買を行なっていた天才相場師、本間宗久が考案したとされています。古くから使われている方式であり、現在では海外でも広く普及していることから、分析に関するデータが豊富です。ローソク足の見方を詳しく知ることが、取引の判断の手助けになるでしょう。
ローソク足の基本的な見方
ローソク足の四角い部分である「実体部」は始値と終値を表し、そこから上下に伸びる「ヒゲ」と呼ばれる線が高値と安値を表しています。1本のローソクから、４つの価格（四本値）を読み取れます。
始値より終値のほうが高いローソク足は「陽線」、始値より終値が低いローソク足は「陰線」と呼びます。ここでは「陽線」を赤いローソク足、「陰線」を青いローソク足で表していますが、白黒の場合の陽線は白で陰線は黒など、メディアによって色の表現が違うので確認してください。ローソク足の色を見るだけでも、「陽線が多い＝価格が上昇傾向」「陰線が多い＝価格が下降傾向」と大まかな動向を捉えることが可能です。
また、1日の取引内容を表すものを「日足」、1週間を「週足」、1カ月を「月足」と呼び、ローソク足の時間軸を選ぶことができます。
覚えておきたいローソク足の種類
ローソク足は、実体部やヒゲが長ければ長いほど、価格が大きく動いたことを示します。つまり、どのような形をしているかで、今後の株価の動きを予想することができるのです。ここでは代表的なローソク足の種類をご紹介します。
大陽線・大陰線
「大陽線」は、ほかのローソク足に比べて、明らかに大きな実体部を持った陽線です。始値から大幅に上昇したことを表し、相場の上昇が続く可能性が考えられます。下げ相場で見られた場合は転換点のサインとも受け取れます。 反対に「大陰線」は、大きな実体部を持った陰線です。始値から大きく下落したことを表し、下落相場が続く可能性を示唆しています。
小陽線・小陰線
実体部が短い形の陽線を「小陽線」、陰線を「小陰線」と呼びます。相場の迷いを表していると言われています。
上影陽線・上影陰線
上ヒゲが長く、実体部が下方にある陽線を「上影陽線」。陰線の場合は「上影陰線」と呼びます。どちらも下落へ傾く可能性を示唆しています。
下影陽線・下影陰線
下ヒゲが長く、実体部が上方にある陽線は「下影陽線」。陰線は「下影陰線」と言い、どちらも買いが高まる可能性を示唆します。安値圏で出現した場合には上昇への転換のサインとされます。
十字線
始値と終値が同じで、実体部がない十字架の形をしています。売りと買いの勢力が拮抗している状態を示し、相場転換の示唆になります。寄引同時線とも呼ばれています。
ローソク足を複数組み合わせたパターン
ローソク足1本でも相場を読み解くことができますが、複数のローソク足の並びをパターンとして見れば、より正確な分析をすることが可能になります。
包み足
連続する2本のローソクで、前のローソク足が短く、次のローソク足が包み込んでいるパターンを「包み線」と呼びます。陽線が陰線を包んでいる場合は上昇への転換、陰線が陽線を包んでいる場合は下落への転換を示すサインとされています。
はらみ線
包み足とは逆に、「はらみ線」は古いローソク足の中に新しいローソク足が入っている形状です。相場の天井や底を形成するときによく出る形とされており、トレンドが転換するサインと見られています。
酒田五法
酒田五法は、江戸時代に編み出された古典的な手法で、現在も多くの投資家が参考にしています。図のように5つのチャートのパターンがあり、3〜5本のローソク足を用いて予測を行ないます。
「三山（さんざん）」は、上げ下げを繰り返して3つの山を形成するもので、相場の天井を示唆し、下落に転じるときに見られると言われています。反対に3つの谷が見られる「三川（さんせん）」は、もうこれ以上下がらないだろうということから買いのサインとなります。
「三空（さんくう）」はローソク足の並びに「窓」と呼ばれる空白が現れるもので、相場の転換点が近いとされ、上昇局面なら売り、下落局面なら買いの機会と見ることができます。
「三兵（さんぺい）」は、陽線が3本続いた場合は価格上昇、陰線が3本続くと下落の可能性が高いとされています。
また、価格が明確な方向性を示さず、一定の高値と安値の範囲内で推移する市場の動きをレンジ相場と呼びますが、このようなパターンを酒田五法では「三法（さんぽう）」と言い、先行きが不透明なときは一旦休んで様子を見るとしています。
まとめ
本記事では、ローソク足から相場の動向を知る方法をご紹介してきました。ローソク足の見方を覚えることで、今後の動きを予測できることがおわかりいただけたと思います。もちろん、必ずしもこの通りに動くとは限りませんが、参考にすべき重要な指標のひとつであることに変わりはありません。また、ここで紹介している以外にも、種類やパターンは数多くあります。まずはここで紹介した基本をしっかりと抑えて、スキルを磨いていきましょう。
